熊本へ行って来ました

畳表(たたみおもて)の産地、熊本へ行って来ました。
知ってる人は知ってる畳表の名産地熊本。日本で作られている畳表の約9割以上が熊本で作られているのです。
今回熊本県八代市に来た理由の一つは、「畳表の製造過程を経験し、お客さんに産地の実情を正しくお伝えする為」です。
僕は、何でもそうなんですけど経験せずしてお客さんに語るのは嘘になってしまう気がして、実際身体で味わった事だけを正確にお伝えさせて頂いてます。
生の農家さんの声、情熱とかですね、苦労や喜びを聞いて貰えれば、畳そのものの価値がどのくらいあるのかをお客さんに考えて貰える。そう信じています。
話戻しまして、実際僕が体験させて頂いた農家さんを紹介します。

去年、農林水産大臣賞を受賞された小嶋氏夫婦です。
畳表には、各農家さんの想いが込められた品物を評価する品評会という一大イベントがあります。
その中でトップを受賞するのはめちゃくちゃ誉れのあることで、自分の作品がブランド化する瞬間です。
畳屋さんの中にはこの品評会に毎回来られ、大臣賞受賞された農家さん狙いで買っていく方もおられるそうです。
そんな凄い農家さんの大事な作業を僕のような素人がお邪魔致しましての2日間。文句も一言も言わず、優しく教えて頂き本当に小嶋さんの温かさが身にしみました!

新しい刈取機に同乗し、機械がノンストップで刈り取っていくい草をあたふたしながら積み上げていく作業は左太ももに結構きました!翌日キレイに筋肉痛です。
小嶋夫人「初めから上手にされたら私もたまったもんじゃない、最初はそんなもんよ〜」と、優しくフォローしてくれました。
心ではこのノロマめ!と思っていたはずです。
手刈りは毎年してますが、機械は初めてなので効率の良さに愕然となりました。

2日目早朝から作業開始です。刈り取ったい草をイ泥に浸してから釜で乾燥させるセッティングから始まりました。
午前、3時です。
3時?
ほぼ夜中ですよね!?
これには農家さんの近隣の迷惑を配慮した事情も含まれ、この時間だそうです。
もんの凄くホコリ(乾いたイ泥)が舞うのと、結構騒音もあるためです。

ヘトヘトになって7時、朝食をご馳走になりました。これがもう格別でどんどんご飯が進む!来てよかった!って思いました。


再び田圃へ戻り、い草が倒れないように張ってあった長〜い網外しをし、初日行った刈り取りをまたして行きます。
お昼に作業終了。
慣れない作業でヘトヘトの2日間でしたが、農家さんは刈り取り時期約1ヶ月、これを「毎日」行います。
毎日……!
大変さが分かり、言葉が出ませんでした。
全国9割以上の生産を占める熊本。
その熊本の農家さんは399軒しか残っていません。
そして、農家さんの平均年齢
65歳…です。
これから日本のい草産業はどうなってしまうのか…。あなたにも想像がつくと思います。
そうならないように!
僕はもっともっと農家さんの声をお客さんに届けて、畳の良さ、価値を今一度確認してもらい、より良い素晴らしい畳を選んでもらい、そして新たに産地農家が活気づく日本になって貰う為に毎年熊本へ出向き勉強し続けるつもりです!