格式高いお屋敷の表替え

立派な玄関。
こちら築300年以上の歴史のある家屋だそうです。
今までで築100年の家は何回か仕事させて頂きましたが記録更新です、大きく。
歴史のある建物には歴史ある、価値など計り知れない代物だらけで、リアル博物館のようでした。


見た事ない襖やテレビでしか見た事ない箪笥やらで、時代だけで無くそのお家の位がいかに高く由緒正しいものかヒシヒシ伝わって来ました。
そんな歴史ある家屋には、畳も当然普通でない物が敷き詰められていました。

畳屋さんならすぐに凄さが分かる、昔ながらのオール手作りの畳床「手床」です。
ただでさえ藁を使用しない建材畳床が普及してる現在、藁床と言っても機械で作られており、国内生産者も数える程だと聞きます。
今の時代、一般の仕事で手床から作って畳にする事はまずありません。予算に限りのない、日本の伝統工芸、技術を大変好まれるお客さんがいらっしゃったら話は別ですが。
今回の手床の畳は、オーラやへたり具合から察するに80年以上は経ってると思われ、表替え作業も一筋縄ではいきません。
手床は框の部分が弱いので、補強の為に板が入っています。
その板が経年により緩んで引っ込んだ分+ちょい出して、手縫いで締め直していきます
この作業を怠ると、(怠る人はおらんでしょうが)壁との間にものすごい隙間が出来る上、角の丸いかっこ悪い畳になります。…何も知らなかった昔の僕の失敗談の一つです。
良い品物には大変な手間を掛けなければいけません!
