健康や防災意識のある方へこの上無い稲藁の畳床を注文しに行って来ました（６畳）

天然素材から化学製品になってしまった現代の擬似畳

畳の芯材となる畳床。現在では殆どの畳取扱店は「化学製品」がメインになってしまいました。
化学製品の畳床とは、ポリスチレンフォーム（発泡スチロール）とインシュレーションボード（木屑を科学形成した板）を重ねた物で、製造過程でCO2を多く排出します。
稲藁の畳床より軽く、加工し易く、ペラペラの薄い畳も作れ、扱う専門知識を必要としないという点で「製造側には」極めて都合の良い材料ですが、一方で畳の本来持つ素晴らしい性能の多くを捨てた擬似畳と成り果ててしまいました。
『実家の畳はもっと弾力があったのに今の家は凄く硬い』これはお客様からよく聞く話です。
生活の中でフローリングと和室を使い分けるようになった現代では、寛ぎや癒しのスペースとして畳を設ける為、畳の柔らかさ快適さは当店の最も配慮するポイントですが、実は化学製品の擬似畳には絶対真似できない暮らしを守ってくれる性能が稲藁の畳床に存在するのです。

稲藁を使った畳の性能その１「震災時」

私は震災が多発した時期に家を建てました。そのため当時は防災意識が高かった（過ぎた）こともあり、「耐震等級３」を取得した言わば揺れに強い家造りを行い壁内にはダンパー（揺れ緩衝器具）を設置しました。それだけで済まず少しでも家族にとって安全な家にしたかったので、畳屋の家で産まれ四代分の知識を叩き込まれた私は勿論和室を設け、自分で稲藁の畳を納めました。良い稲藁の畳床で作られた畳は、震災時の揺れに対しクッションの役割を果たし、家の歪みを軽減すると昔から言われています。

稲藁を使った畳の性能その２「火災時」

皆さん稲藁はお米を収穫した後に残る稲の事とはご存知だと思いますが、一本だけだと燃えそうなイメージがありますよね？しかし、稲藁を使った従来の藁床というのは密度が極めて高く、大量の稲藁を圧縮して縫い締めているので「燃やそうと思っても燃えません」。具体的に言うと畳一枚をゴミ処理施設に持ち込むと燃え残るほど超難燃性を誇る為、当店地域では細かく裁断しないと処分させてもらえません。
焼却炉の火力を持ってしても燃え残る畳。これは火災時に冷静になる時間が確保できるのと、救護を待つことの出来る言わばシェルターの役目を果たす「命を守る家財」だと言えるのでは無いでしょうか。
実験によると現代主流の化学製品の擬似畳は燃え広がりが加速すると言う事が証明されています。畳一枚でも化学製品の擬似畳と天然素材の本畳とでは色んな意味で全く別物です。
本物の稲藁の畳が昔からある古臭い床材、とは思えなくなってきましたよね。

稲藁を使った畳の性能その３「極上の踏み心地」

その１・２では稲藁の畳は命を守ってくれさえする驚くべき事実を書きましたが、それだけだは終わらず日本の床材で唯一無二の足触りの良さは素晴らしいものです。靴を脱いで暮らす日本の文化は海外の方から見ると異質に映るらしく、玄関でわざわざ脱ぎ、スリッパに履き替え、フローリングを歩いては和室の前でまたしてもスリッパを脱ぐ。と言う我々からすると当たり前なこの所作はとても不思議な光景なのです。古来から日本人は空間毎に立ち振る舞いを分け、時には畳に敬意を払いお手入れをし、労り、畳を大切にしながら共に暮らして来ました。もし畳がフローリングのように硬かったら、もしかすると正坐と言う所作は拷問の類だったかも知れませんし、茶道・華道・書道も生まれなかったかもしれません。柔道のような武道も危険過ぎて広まらなかったかも知れません。転んでも衝撃を和らげてくれ、湯呑みを落としても割れない稲藁の畳は日本の暮らしを支えて来たかけがえの無い家財なのです。

環境にも人にも健康にも良い大地の恵み稲藁の畳

化学製品でできた擬似畳は製造過程も処分の際もCO2を排出し環境汚染にどうしても繋がりますが、稲藁はそもそもお米の栽培の副産物なので、栽培される時点でCO2を吸ってくれています。これは畳の主原料の天然い草も同じです。当店が心からお勧めしたい本物の畳（稲藁の畳床➕国産天然い草の畳表➕天然素材の畳縁で作られた畳）は極めてエコで環境にも健康にも良い先人達が築き上げた日本の誇れる文化なのです。
しかし稲藁の畳床を作れる職人も、天然い草を栽培する農家も、今希少な存在になっています。
少しでも防災意識があり、健康的な暮らしを心掛けている方はこの日本の大地で育った稲藁でできた本物の畳を手にはいるうちにご依頼ください。命を護り、機能性に優れ、地球を汚さない。一度作れば30年〜60年も長持ちする最高の床材は本物の畳だけです。

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