金光教のお結界に使う二畳台 有職仕様

金光教のお結界に使う二畳台 有職仕様

とよだ疊店の神社仏閣の特注畳有職仕上げ(本式)二畳台の修復

 細部にまで技術力が要求される神社仏閣の畳には様々な用途に合わせた物があり各仕様が異なります。
この度は金光教さまからお結界に使用する二畳台の「修復」の御依頼です。

 現代では通常の家庭で使われる畳は作業工程の半分が機械化され、誰でも簡単に「畳のような物」は製作できますが、二畳台は畳2枚分の厚みがあり微密な作業の結晶なので全て手作業で製作します。ましてや修復となればその作業だけで別工程が追加される為、職人の技術・気質を問われ手間暇かけてやらないと蘇りません。
 料理でもそうだと思いますが、一から自分で作るよりも、他の方が一度手がけた物を自分の味付けに直す方が圧倒的に難しく、労力精神力経験を必要とします。
 なぜ「新調」ではなく、土台を再利用する「修復」でお引き受けさせて頂いたかと言うと、この二畳台は信者さまからの奉納品(確かそうだった筈)である為、修復できるなら再利用して使っていきたい。とのご意向でしたので、店主の私からしますと残す価値のある物に最大限の技術を投入し、蘇った作品がまた何十年と受け継がれていく事は極めて本意でしたのでお引き受け致しました。
 同時に「ああ、だから当店にご縁が来たんだな」と納得し感謝の意が湧きました。
いまのご時世、藁を追加して縫い固める最上級の修復技術である締め直しをする畳店は多くありませんしね。

 当店が今までに製作したお寺の二畳台・礼盤畳とは違い、正方形ではなくやや長方形で大きいのでその分重量があり非力な店主は一人で運ぶのが大変でした。

凹んだ部分に藁を配置

凹んだ部分に藁を足し縫い付ける「締め直し」作業。しゃがんでは上に針を抜き、立ち上がって針を下ろす事約1,000回。太ももがパンパンになる。

修復完了

四方の頭板の緩みを、完成から逆算した寸法に定め縫い締め、修復を終えると、次は分解した2枚の畳床を縫い重ねて柱板を縫い戻します。

2枚の畳床がズレないように細心の注意を払い作業を進めます。当店流では側面をフラットにする為畳床を削って柱板を入れますが、今回は再利用の縛りがある為前工法に従い、後に板を側面に縫い付けフラットに。

とよだ疊店の神社仏閣の特注畳畳表はその時期に扱える最高級の物を採用

 土台の修復を終えると次は畳表(ゴザ)の選別をし、定めた寸法に合わせ裁断後かがり縫いしていきます。
畳全般に通ずる常識ですが、畳表の原料である「藺草」は神聖なる植物ですので、物理的耐久性以外に畳の用途や場所によって格式を分けるのが一般的です。例えば「居間」より「仏間」の方が仏様の部屋ですので格をせめて一段上げます。
 この二畳台は神様と崇高なる関わりのある畳なので、できるだけ良い物を。と依頼者さまから仰って頂けたので、その時期に提供可能な限りの最上級の物を採用させて頂きました。
畳店が違えば扱える品格も雲泥の差がある為、本物を扱う当店として都度都度ご縁を感じました。

畳表は織物。縦糸に対し藺草がほつれないように二畳台用のかがり縫いを行う

次に紋縁の下準備。当店では定めた寸法に縮めてから一つ一つ紋の形を整えていきます。地味ですが見栄えに影響する超重要な作業。

畳の端で紋がピッタリ合うように、紙一枚の精度を求めていきます

四隅に縫い付け、表面にひっくり返します。

逆算した工程全てに精度を求めて進めることで、紋合わせが捗ります。曲がり針は100均の手芸用。

集中力の限界が何度も訪れます

天にくるゴザを制作します

土台の天に乗せ、紋がズレていなければココで初めて「ホッ」っと安堵します。これを綺麗にくけ縫いしていきますが、油断しません。紙一枚の精度で仕上げにかかります。

縫い終わり。完成。ああ美しい・・・でもまだまだ。次はああやってみよう、こうしよう、向上心が止まりません。もはや病気です。

裏面も目乗りや紋合わせの精度を求めていきます。裏表合わせて60年は使えると思います。裏面に穴が開きますが取手を付ける事もできます。

とよだ疊店の神社仏閣特注畳全国配送承ります。

店主は地産地消に貢献頂ける方や本物を求めたい方なら基本的に全国どこでもお見積もりから納品まで伺っております。
故郷を感じる畳の上で生活したい方。意味を持つ畳製作。当店なら叶えられるかもしれません。
畳は単なる床の一部でしょうか?
いいえ。先祖、家族、風景、音、己、あらゆるコミュニケーション・対時に欠かせない人生の一部だと店主は考えます。

二畳台などの神社仏閣畳は全国配送出来ますので、お気軽にご相談ください。

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