全て手縫い仕上げ
とよだ疊店では、個人様のお宅から、旅館様の和室など、さまざまなお客様のご依頼に対応しています。ここでは、施工実績の一部をご紹介しています。
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尼崎市 K邸 床の間作り替え
床の間の作り替えのご依頼です。
世間はコロナの自粛で皆さん大変ストレスが溜まってらっしゃる中、お仕事を頂く事は不謹慎かもしれませんが個人経営の当店としては正直凄く有り難く思います。
床の間一枚と言えど、心を込めてお作りさせて頂きました。
今回の床の間の仕様は「おまかせ」という事だったので、壁の色や柱の色、置いてあるお人形さんの雰囲気、そしてお人形さんのケースの中にコンディションを保つ水が設置されてるのを拝見し、大事になされている事から、浮かんだインスピレーションにて仕様を決めさせて頂きました。
大切な思いは畳のグレードに直結せねばなりません。1番抜きで織られた本間サイズの綿々(めんめん)畳表(たたみおもて)を贅沢に使い、畳縁(たたみべり)
はお人形さんの雰囲気に合わせて今様(いまよう)という縁を採用しました。
余談ですが床の間は、現代は飾り物を置くスペースとして使う方が多いですが、元来は自分より身分の高いお偉いさんを招いた時に居てもらう為のスペースだったとされています。
その為自分達より高い段の上に設けられ、畳縁(たたみべり)も位に合わせた縁を採用されていました。
後に用途が掛軸や絵を飾る使い方になり、畳表(たたみおもて)も龍備(りゅうびん)に変わりました。
龍備表とは、引目(普通のゴザの織り方)より織り幅がとても広く、平らな面積が広い為、日の光が反射し、絵や掛軸を鮮明に映し出す今で言うレフ板の役割を担っていました。油分を多く含むい草は艶があるので、それを巧く利用した訳ですね。
その名残が現在もあり、床の間には赤龍備の表がつか物が多いです。畳縁も紋縁(もんべり)が一般的で、居間より位の高い縁が採用されていますね。 -
鹿児島県H邸 出仕事(出張) ダイケン清流 表替え
こちらは鹿児島県指宿市に出仕事※にて仕上げさせて頂きましたH邸4帖半×2部屋です。
(※出仕事とは、畳をお預かりせずにお客さんのお宅で作業して仕上げる昔ながらの仕事です。)
この今回選んで頂いたダイケン清流の表替え、本来ならば持って帰って機械で作業するのですが、距離が距離なので出仕事に。しかし作業上の問題があり慎重に丁寧にしなければなりませんでした。
・縫い針を上に抜けない(和紙は穴空くと戻らない)
・部屋内作業なので埃が立たないように超静かに
四帖半×2部屋、全て終わるのに何と丸2日掛かりました!
先代達の声が聞こえて来そうです
「んなもんわしらは半日で終わらせてたで〜」
そら昔の人には勝てません。
毎日手縫いが当たり前の人は今の機械で縫うスピードと変わらなかったらしいです。
絶対手抜きしてたに違いない!
と思いたくなる話です。
しかし、手で縫うと、縁際がめちゃくちゃ綺麗に仕上がります。
機械では縫った跡が僅かに凹むため、高価な畳を機械で仕上げると残念な気持ちになります
値は張りますが、また伝統技術の存続継承に投資してくれるお客さんに出逢いたいです。