子供と土に触れながら、次の世代に繋ぎたいこと。
私たちが毎日使う畳。
その畳の原点には、一本の稲があります。
当店では、一つの試みとして、稲の無農薬栽培から畳づくりに携わる取り組みを始めています。
複数の田んぼで、種まき、田植え、刈り取り。
子供たちも一緒に田んぼへ入り、土に触れ、稲の成長を見守りながら、農作業を体験させていただいています。
もちろん、これは自分達だけで出来ることではありません。
田んぼを守り、稲を育てる農家さんのご協力があってこそ、実現できている取り組みです。

発芽した種を保温保湿し定めた累積温度になるまで待ちます

この一粒が、お茶碗一杯分に増えるのだから・・・
感謝ですよね
一枚の畳は、稲から始まる
畳と聞くと、青々とした畳表や、職人が畳を仕上げる姿を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、当店が大切にしている稲藁畳には、もう一つの原点があります。
それが、田んぼで育つ稲です。
稲は、米を実らせるだけではありません。
収穫したあとの稲藁もまた、畳の大切な材料になります。
当店は、自ら田植えした田んぼで育ち刈り取られた稲を
天日乾燥させた、無農薬栽培の稲藁を畳作りに使わせて頂いています。
太陽の光を浴び、風に吹かれながら乾いていく稲藁。
香りも良く、一本一本コシもあり
それが畳の芯となり、補修材にもなる。
私の手仕事によって、一枚の畳へと姿を変えていくんです。
普段、部屋の中で何気なく目にしている畳も、元来は田んぼで育った稲の一部なのです。

左 次男 右 長男

初めての田植え
子供達と、土に触れる
種をまき、田植えをし、稲の成長を見守り、やがて刈り取る。
この一連の営みを、子供と一緒に体験させて頂いています。
子供と土に触れること。
植物が育つ様子を知ること。
食べ物や身の回りのものが、どこからやってくるのかを考えること。
こうした経験は、教科書を読むだけでは得られないものがあると信じています。
私自身、レアな畳職人として稲藁を扱っていますが、稲を育てる現場に身を置くことで、材料に対する見方も変わってきます。
一つひとつの稲が育つまでには、自然の力だけでなく、人の手と時間が必要です。
そして、その稲藁を畳に使えるのも、農家さんが育て、収穫し、乾燥させてくださるからこそ。
畳のワークショップでも必ず伝える事「物一つに作り手あり」
子供達にも、そうした「つながり」を少しずつ感じ取ってもらえたらと思っています。
何かを教え込むというよりも、まずは一緒に土に触れ、季節を感じ、稲の成長を見守る。
その体験の中から、それぞれに何かを感じてもらえれば十分だと考えています。

初めての稲刈り

初めての稲刈り 長女
捨てずに活かし、循環させる
稲は、お米を収穫して終わりではありません。
米を有難く頂き、稲藁は畳に活かす。
そして、畳として暮らしの中で使われ、役目を終えたあとも、その素材をどう活かしていけるのかを考える。
そこには、自然の恵みを余すことなく活かそうとする、昔からの知恵があります。
もちろん、すべての稲藁が畳に使えるわけではありませんし、農業も畳づくりも、自然環境や時代の変化と無縁ではいられません。
それでも、稲を育てる営みと畳づくりが繋がっていることを知れば、一枚の畳を見る目も少し変わるのではないでしょうか。
私が目指しているのは、単に昔ながらの材料を使い続けることだけではありません。
稲を育てる人がいて、その恵みを活かす職人がいて、それを暮らしの中で大切に使ってくださる人がいる。
そうしたつながりを、これからも残していきたいのです。

そして畳作りへ・・・
畳を通して、次の世代へ
今の子供たちが大人になる頃、身の回りにあるものは、今以上に変わっているかもしれません。
便利で、手軽で、効率のよいものが増えていく一方で、その材料がどこから来て、誰の手を経て、自分たちの暮らしに届いているのかを知る機会は、少なくなっていくかもしれません。
だからこそ、私は畳職人として、稲の栽培から携わることに意味があると考えています。
自分たちが使う材料を知ること。
自然の恵みに触れること。
農家さんの仕事を知ること。
そして、子供たちと一緒に、その「循環を体験する」こと。
それらは、畳を作るためだけの活動ではありません。
私たちの暮らしが、自然や多くの人の営みに支えられていることを知る機会でもあります。
種をまき、稲が育ち、稲藁が畳になる。
一見すると別々に見える農業と畳づくりも、もとは一本の稲で繋がっています。
その繋がりを大切にしながら、これからも稲藁畳を可能な限り作り続けていきたいと思います。
一枚の畳の向こう側に、稲を育てる人がいる。
そして、その営みを次の世代へ循環させていく。
これからも、とよだ疊店は畳作りを通して、稲と人、自然と暮らしのつながりを大切にしていきます。
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