「稲と畳」コラム 第三話

「稲と畳」コラム 第三話

畳の上で感じる「落ち着き」とは


畳の上で過ごすと、
「落ち着く」と感じる方が多くいらっしゃいます。

それは単なる気分だけではなく、
人が自然に受け取っている感覚なのかもしれません。


畳に使われるい草や稲藁は、
柔らかさと弾力をあわせ持った素材です。

座ったときや寝転んだとき、
かかる力をやさしく受け止め、分散していきます。

硬すぎず、沈みすぎない。
その絶妙なバランスが、無意識の緊張をゆるめます。


また、自然素材は空気中の湿度を
緩やかに整える働きがあるとも言われています。

乾き過ぎず、湿り過ぎない空気は、
呼吸を自然と深くしてくれます。

ほんの僅かな違いですが、
人はそうした変化を敏感に感じ取っていると思うのです。


そしてもう一つは、「触れる感覚」です。

人は、目や耳だけでなく、
皮膚からも多くの情報を受け取っています。

畳の上に寝転んだときの安心感。
足裏に伝わるやわらかさ。

そうした感覚の積み重ねが、
心の落ち着きにもつながっているのかもしれません。


私は畳職人なので、その全てを理論的に説明できる訳ではありません。

しかし実際に触れてもらうと、
違いを感じる方が多いのも事実です。

イベントにて素材を伏せて畳を体験して頂くと、
自然と稲藁の畳を選ばれる方が多くいらっしゃいます。


目に見えるものだけでなく、
人が自然に感じているもの。

畳の心地良さは、
そうした見えない部分に支えられているのかもしれません。

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